◆REPAIRLOG 20001216

     HP読者の方からメールをいただきました。
    愛着のあるビデオデッキが壊れたので、修理して欲しいとのことです。
    ここ1年カメラからバイクと趣味が変っており迷いましたが、結局引き受けてしまいました。

     長年使用して愛着があるとメールに書かれると、廃棄されるのがよりもったいなく思います。
    しかし、他の皆さんはあまりこういうメールを出さないでくださいね。
    今はあまり修理に集中できないのです。

・機器名

    東芝 A−BV3
・症状/入手費用
     テープカセットをローディングすると電源が切れる。
・故障確認
     トップカバーを開けて、テープカセットを押し込みました。
    すぐに電源が切れました。
    何か動作するべき工程が終了しないので、デッキが電源を自動的に切っている雰囲気がします。
    試しに電源を入れた直後イジェクトボタンを押すと、テープカセットは問題なく排出されます。
・修理部品/時間
     合計約40分。
・修理状況
     テープカセットをローディングしてもドラムが回転しません。
    手で回してみると、何かが引っ掛かりました。
    コネクターです。
    ありゃ?
    このアッパードラムには、上部に静電除去ブラシが付いているのかなと外してみました。
    ありゃりゃ
    小さな電解コンデンサが入ったコネクターのオスがブラブラです。
    どこに付くのかいなとアッパードラムの上をよく見ると、2極のメス側がありました。
    おぉ、このコネクタはドラムと一緒に回転しているんだ。
    ということは、この大きな箱状の部品はスリップリングのような構造で、信号をやり取りしているなと想像できます。





     箱状の部品を外して、コネクターを装着しました。
    箱状の部品を取り付けて、電源を入れテープカセットをローディングします。
    ドラムは正常に回転しました。
    しかし、箱状の部品から異音がします。
    どうやら取り付けが甘いようです。
    しっかり締結のネジを締め付けると更に異音が大きくなりました。
    どうやら経年変化で位置ズレをおこしているようです。
    これは部品を買いに行かなくちゃ駄目かなと思いましたが、デッキそのものの寿命がそれ程長くなさそうです。
    ヘッドの突き出し量も磨耗で少なくなっています。

     ということで、取り付け部分のモールドにゲタがあるので削ることにしました。
    取りつけ位置が下がれば異音がなくなるのは手で押さえて確認済みです。
    ゲタ部分はカッターナイフで削り、ヤスリで磨きました。
    取り付けてみると、特に異常なく再生します。
    しばらくランニングテストして、持ち主に返却する予定です。