◆REPAIRLOG 19991002

    HP読者からメールをいただきました。
      先日SONYのSLV-F11というVTRを入手したのですが、
      テープ走行が安定しないという症状があり、その上
      「ギアまわりを清掃すれば直るかな」とバラして再
      組立した所、合せマーク等に留意していなかった
      せいか再生できなくなってしまいました。
    と書かれていました。
    うっ、最近こういうのが多い。
    しかし合わせマーク等の文面から、珍言采のHPを見て修理にチャレンジしたような雰囲気が・・・
    ここは一つ、引き受けることに。

・機器名

    SONY SLV−F11
・症状/入手費用
    走行不良。
・故障確認
    テープをローディングするまでは正常。
    再生時テイクアップリールの回転スピードが遅く中で弛む。
    早送り時、数秒でサプライリールにブレーキをかけたように停止。
    ありゃりゃ、リールドライブ機構のどこかでトラブルが。
・修理部品/時間
    ナイロンワッシャ1個/約30分。
・修理状況
    サイドのネジ4本を外しトップカバーを開けます。
    フロントカバーを外し、カセットハウジングも外します。
    SL−V***で見慣れたメカです。
    およよ、あちこちグリスアップした跡があります。
    しかしグリスが多すぎて、はみ出しています。
    これではクラッチ機構のギアの裏側にあるフェルト部分までグリスが潜り込んでしまいそうです。

    メカの上部からクラッチ機構の白い樹脂製カバーを外します。
    首降りギアの動作が渋くて、手でサプライリール台を回すとガリガリギアが異音を出します。
    このメカのリール回転センサー用の反射板は、リール台下部になくクラッチとの間のギアにあります。
    この反射板の付いたギアと首降りギアの間に、上下へ移動する変速ギアがあります。
    よく見ると変速ギアの上下動作が固くて、下側に噛んだままです。
    外してみると上下へ移動させるカムとシャフトの隙間にギアの下部が挟まれています。
    なんだ、ナイロンワッシャが抜けているから下がりすぎてスライダーの隙間に押し込まれたんだ。
    というわけで、SONY製の純正ナイロンワッシャを入れて終わり。


精密ドライバーの先のシャフトにワッシャを入れました。




    うーむ、この持ち主はメンテの途中でアクシデントに・・・
    クラッチ機構のオーバーホールをして、組み立て時にナイロンワッシャを忘れたようですね。
    ムービーをお持ちでしたらメンテ中に撮影しておくと、トラブルはなかったかもしれません。
    ご自身でメンテされる方はお気をつけ下さい。