◆REPAIRLOG 19980627

会社仲間の宴会で、職場の同僚兼悪友からAV機器の修理が得意だと女性社員の前で吹聴されてしまった。
ありがたい。
つぅわけで、その場の雰囲気からビデオデッキが2台壊れて困っているらしい女性から修理を引き受けることになった。
更に別の女性からもミニコンポのリモコンが壊れたと聞いたので、どちらも修理することにする。
ここが腕の見せ所だ!

・機器名

    SHARP VC−B19
・症状/入手費用
    持ち主曰く、家族に聞かないと何処が悪いかよくわからない。
・故障確認
    テープカセットが入り辛い。3回くらい押し込まないと駄目だ。
    ストップ状態でローディングアームが戻っても、引き出したテープが中で弛んだままになる。
・修理部品/時間
    修理部品は特になし。
    所用時間は約2時間。
・修理状況
    毎度のようにトップカバー、ボトムプレート、フロントキャビネットアッセンブリーを取り外す。
    カセットハウジングも取り外してメカシャーシ上のリールドライブ機構をむき出しにする。
    カセットハウジングのシュウドウ部にグリスを塗布する。
    勿論、古いグリスは拭き取っておく。
    テープカセットのローディング(カセット挿入)とテープのローディング(ドラムへの巻き付け)が1つのモーターで行われている。
    シャープはこのメカ得意というか古くから長く採用している。
    NECもこの部分は同様なメカだ。
    モータのシャフトには2つのプーリとベルトがついている。
    両方のベルトとプーリをアルコールで清掃。
    テープ走行系もついでに清掃。
    さらににローディングアームのシュウドウ部もグリスアップ。
    この状態で一度動かしてみる。
    テープカセットが入り辛いのが直った。
    テープが中で弛むのは相変わらず。
    しかしテープが弛んだからといって、イジェクト時に中でくしゃくしゃになることはない。
    何故ならカセットが吐き出される直前に、サプライ側が瞬間的に巻き取っているから。
    何度か動作させていると原因がわかった。
    シャープ製はローディング用のモーターの下にモードスイッチがあるが、どうもストップ位置で接触不良を起こしているらしい。 テープのイジェクト位置までブルーのカムギアが回転すると巻き取りが開始されて弛みを取るようだ。
    イジェクト直前に少し巻き取るのは、何処のメーカも同じ。
    次にテープを挿入するとそれが原因で以前見た位置から再生されるのを、皆さんご存知だと思う。
    基板からのコネクターと3本のネジを外して、モーターアッセンブリー毎取り出す。
    基板からモータの足を半田ゴテで外す。
    これで基板とモードスイッチがフリーになった。
    裏を見るとロータを組み付けるときの合わせマークが付いている。
    3つの爪を持ったモードスイッチのロータを外す。
    ロータの裏側にはブラシ状の接点が付いているので、CRC―556をしみ込ませた綿棒で清掃する。
    特に汚れはない。
    ついでにパターンになった固定側の接点も清掃する。
    随分汚れていたしそれに摩耗している。
    逆の手順で組み立てる。
    やったぁ!
    特に問題なく動作する。
    キャプスタンベルトが若干伸びているので交換した方がよいだろう。さらに欲を言えばモードスイッチだって新品と交換した方がよいに決まっている。
    とりあえず持ち主に部品代が少々かかっても交換するか尋ねてみることにする。
    このままでも2年はもつのではないだろうか。