◆REPAIRLOG 19980426

1ヶ月ちょっと前、私のザウルスを買ってくれた知人から壊れたビデオデッキが2台送られて来ました。
修理部品を取り寄せそのままにしていたら会社の友人の同僚からHi−Fiデッキが1台欲しいとE−Mailが来て、急遽程度のよさそうな1台を修理することにしました。

・機器名

    松下 NV−870HD
・症状/入手費用
    送り主曰く壊れているだろう。
    宅配の送料、修理部品諸々。
・故障確認
    電源を入れる前に外装を掃除。
    トップカバーを開けたら玄関先へ持ち出して、AC100Vの電動ブロワーで内部の埃を吹き飛ばす。ついでにボトムプレートも開けて裏側からも吹き飛ばす。
    よく雑きんで内部の埃を拭き取ろうとする人がいるが、これは間違い。
    あちこち引っかけたり余分なグリスを拭き取ったりろくなことはない。埃は吹き飛ばすに限る。グリスはアルコールに浸した綿棒で拭き取るに限る。
    電動ブロワーは大型のドライヤーのような形状です。マキタや東芝等の有名メーカ製では7000円くらい、無名メーカー製では4800円くらいします。
    一時期、日テレの夕方番組おじゃマンボウで「口風ピューピューマシン」と呼ばれていたので、知っている人は多いかもしれません。
    口に向けて吹き付け、何を喋っているか当てるクイズで使用されていました。
    デッキの内部をよく見ると松下にありがちな故障を発見。
    これで累計3台目ですが、サプライ側リールのバンドブレーキのパッドが脱落していました。松下の部品名では「テンションバンド」。
    パッドはフェルト製でスチールバンドにボンドで接着されていますが、経年変化で接着力がなくなり脱落していました。
    さらにカセットハウジングを外すと、リールドライブアイドラーのゴム表面がこれも経年変化らしくクラックが無数に入っていました。
    裏側を確認すると、ローディングベルト、キャプスタンベルトが伸びていました。
    これを使用していた人は、テープにバックテンションがかからずにスキューひずみが大きくて使えなかったと思います。
・修理部品/時間
    テンションバンド、リールアイドラー、ローディングベルト、キャプスタンベルト。
    所用時間は約60分。
・修理状況
    いつもでしたらテンションバンドを再利用しますが、今回は会社関係の人に譲渡するので新品と交換することに決定。
    再利用する場合は、スチールバンド側にボンドG17を少量塗布し半分乾いたところでフェルトを張り付けます。
    フェルト側にボンドを塗布すると吸ってしまい接着出来なくなるからです。
    ちなみに今回購入したサービス部品では、スチールバンド部分が透明樹脂製に変わっていました。
    故障が多発し対策されたようです。
    ビス3本を外して、フロントキャビネットを取り去る。キャビ側の操作スイッチのワイヤーハーネスがコネクターで本体側基板に接続されているので注意して外す。
    次に2本のビスを外してカセットハウジングも取り外す。これも本体側基板からエンドセンサー用のコネクターが接続されているので、無理をしないように外しておく。
    リールドライブアイドラーは首降り型で、スプリングでローラーに押し付けられて動力を伝達している設計が古いタイプ。
    とりあえずナイロンストッパを外してから丸ごと取り替える。ビクター製の場合はアイドラーの回転部分のみ交換する場合が多いが、松下の場合はアッセンブリーで交換する場合が多い。
    ボトム側のベルトを2本交換する。ローディングベルトは特に分解の必要はありません。キャプスタンベルトは、フライホイールの軸受けプレートを外さないと交換できません。
    両方ともベルト交換に際して、プーリをアルコールで清掃しておきましょう。
    ドラムを含む素行系を、アルコールを浸した綿棒で清掃する。
    ヘッドの突き出し量は多く、まだ相当な寿命が残っていると思われました。
    今回購入したサービス部品の中で、アイドラーのみ交換方法が印刷された図面が部品に添付されていました。但しカセットハウジングの取り外しかた類は書かれていません。
・報酬
    友人の紹介なので、送料+部品代の実費で引き取られることになりました。
    リサイクルできてよかった。少し古めのデッキでも使う人がいると嬉しいものです。